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June 30, 2023

宇宙の利用開拓力と実績で、世界の宇宙ビジネスの最前線へ

事業開発対談

(事業開発)
Business development Member Business development

宇宙ビジネスの未来を見据え、様々な事業開発を行うSpace BD。その最前線で働くことには、どのようなチャレンジや魅力があるのか。当社の基幹事業を担当し、宇宙とSpace BDの新たな可能性を開拓しつづけるべく、それぞれのフィールドで活躍する2人に話を聞いた。

【登場社員】
美亜:事業ユニット統括 ローンチサービス事業 マネージャー
2016
年ワシントン大学航空宇宙工学部卒業。在籍中、折り紙をモデルとした構造体の設計、衝撃吸収メカニズムの研究に従事。卒業後、National Instruments社にて大手自動車OEM、電機メーカー、研究機関のアカウントマネージャーとして、テストオートメーションを基軸とした開発戦略の提案から運用技術支援等を担当。

芳澤 遼:事業ユニット統括 ISSプラットフォーム事業 マネージャー
2016
年デロイトトーマツコンサルティングに入社。戦略(新規事業開発、全社の中長期経営戦略の策定など)からオペレーション(業務改革・コスト削減、新会社設立など)まで幅広い案件を担当。業界は、商社・消費財・電機・食品など多数経験。

飯塚 はるな:事業ユニット統括 事業開発広報・採用 マネージャー
2012
年株式会社リクルートに入社。人材メディア営業として4年間従事した後、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に人事として出向。リクルート帰任後は、政策渉外として関係省庁とのコミュニケーションを担当。


事業開発の事例(衛星打上げ)

宇宙にモノを持っていかなければ何も始まらない。
その第1歩から宇宙実証までを一貫サポート。

■飯塚:お二人はマネージャーとしてSpace BDの事業開発の最前線で活躍されていますが、まずは当社の基幹事業である「ローンチサービス事業」を担当されている李さんから、詳しい事業内容について教えてください。

■李:ローンチサービスは、宇宙に衛星を打上げたいお客様に対して様々な手段をご提案していくサービスとなっています。衛星だけでなく、宇宙で実証したい機器などの打上げも可能です。
お客様が宇宙を使ってやりたいことや優先したい条件などを理解しながら、それに最適なサービスを提案し、実際に実証するまでをお手伝いしていきます。

■飯塚:宇宙でビジネスをするには、宇宙にモノを持っていかないと始まらないところもありますよね。

■李:宇宙にモノを持っていくには、現行では「ロケットに荷物を搭載して移上げ輸送する」という手段が主です。その中でSpace BDが何をしているかというと…。衛星は、小さいものだと手のひらサイズ、大きいものだと数トンくらいと様々なのですが、衛星のサイズだけでなく、お客様ごとに宇宙における目的地、行きたい時期、やりたいことも違うので、それに合わせて適切なロケットと打上げ手段を選定していきます。
それだけでなく、宇宙にモノを持っていくために必要な技術的な試験や設計要件など、ガイドラインみたいなものも提供させていただきながら、しっかりと宇宙にモノを届けられるようサポートしていきます。

■芳澤:モノを運ぶというと、地上だとトラック、海だと船みたいなことだと思うんですけど、それが宇宙の場合はロケットっていうことですよね。トラックや船と、ロケットの一番の違いって何なんですか?

■李:一番の違いは、トラックや船は圧倒的にシステム化されていること。今地球上で何かモノを運びたければ、適切なサイズの箱に入れて運送会社に頼めば、それだけで海外でも数日くらいで届きますよね。でも、宇宙だとそうはいかない。
どんなロケットがあるのかも、誰に頼めばそのロケットに載せてもらえるのかも、お客様は知らない。そんな基本的なところから、何もかもがシステム化されていないんです。なのでSpace BDは、お客様に寄り添いながら、地上のスタート地点から宇宙での実証というゴールまで一貫してサポートしていく会社と言えますね。


事業開発の事例(宇宙実験)

国際宇宙ステーションの利用開拓。
宇宙実験は、創薬プロセスの効率化にも貢献する。

■飯塚:宇宙にモノを持っていくと言えば、衛星だけじゃなくて、最近だとタンパク質を宇宙に持って行って創薬実験をすることも注目されていますよね。
これは芳澤さんが担当されている事業の1つなので、ぜひ詳しく聞かせてください。

■芳澤:私はSpace BDの事業開発の中で主に、ISS(国際宇宙ステーション)での宇宙実験サービスを担当しています。
製薬会社様、あるいはアカデミアの先生を対象に、宇宙の微小重力環境という特殊空間を使ったタンパク質の高品質な結晶生成や創薬実験を行うサービスを提供しています。

■飯塚:そもそも創薬研究において、なぜ宇宙にタンパク質を持っていくんですか?

■芳澤:薬の開発では、タンパク質を結晶化させ、できた結晶にエックス線を当てて、その構造データを取って解析するというプロセスが行われています。
地上でもできることをあえて宇宙でやるメリットは何かと言うと、宇宙の微小重力環境では地上よりも重力の影響を受けないので、非常に高品質なタンパク質の結晶生成ができるんです。その結晶を使うことでより高品質なデータを取ることができ、結果として創薬のプロセスを効率化することができます。

■李:きっと、重力があることが当たり前だと思っている研究者の方がほとんどですよね?
「宇宙に持って行けば重力を取り払って実験ができる」っていうその発想自体が、あまりないのかなと思うんですけど…。

■芳澤:そうですね。おっしゃる通りで、営業活動をしている中でも、製薬会社の方にシンプルに「宇宙実験しませんか?」って言っても怪しまれるんですよ。「え、何ですか?」と。なので、世間の非宇宙業界の方々に対しては、微小重力環境とはどういうことなのか、そこで実験を行うとどういう効果があるのか、まずはそういったところから周知していって、宇宙を使うと何ができるんだろうっていうことを可視化していくのが大事かなと思います。


「ポストISS」への挑戦

2030年は、宇宙の大転換期。
「ポストISS」時代に向けて、世界中が走り出している!

■飯塚:これからもISSを使ったいろいろなビジネスが展開されていくと思うんですが、そもそもISSって今どういうフェーズで、今後どうなっていくんですか?

■芳澤:現在ISSは、日本も含めた世界の主要5ヶ国ほどで運営されています。ですが2030年を皮切りに、各国の「国」が主導する運営が終了し、「民間企業」を主体者として運営していくというフェーズに切り替わることが決まっています。
今後はビジネスとして民間企業が運営していくので、ポストISSではしっかりと商機を見出せる使い方をしないといけないということです。世界各国のプレイヤーが今これをすごく必死に考えているんですけど、まだこれといった回答が見えていないという状況です。

■李:先日、NASAの様々なファンクションの方が集まって現状の課題や今後の展望などについてディスカッションをするセミナーに参加してきたんですけど。その時にすごく印象的だったのが、これまでの歴史ある宇宙機関だと宇宙開発の目的が明確で、未知を解明するサイエンスや、地球に還元できる技術、発見というところに焦点があたっていて、それ以外の注目度はあまり高くないように感じました。
もちろんそれが彼らの使命だと思うので、自由な発想で宇宙をどのように使っていけるのかを模索していくことは、Space BDのような民間企業こそ力を発揮していけることだと思いますね。

■芳澤:そうですね。だから私たちも事業開発の仕事として、ポストISS時代に向けてどのようなビジネスができるのかについて検討を重ねています。
これまでの常識にとらわれず、まだリアリティのないことや、一見くだらないんじゃないかと思うようなことも含めて、いろいろなアイデアを検証していきながら日本の宇宙産業、そして世界の宇宙産業を盛り上げていきたいと思っています。


グローバルなビジネス環境

宇宙に国境はない。
宇宙のビジネスも、世界中がマーケットであり仲間である。

■飯塚:Space BDの事業では「グローバル」もテーマになっています。特に李さんに伺いたいんですが、グローバルなフィールドでビジネスをつくっていく上での難しさ、やりがい、楽しさは、どういうところにありますか?

■李:私は昨年だけでも10回ほど海外出張があったんですけど。言語の違いはもちろん、ビジネスの考え方や進め方にも各国にそれぞれの様式があり、国をまたいでビジネスをするってすごく難易度が高いんだな、非常に時間のかかる工程なんだなっていうのを、最近改めて実感しているところです。
その上で今とても大事にしていることは、グローバルな規模での仲間づくり。宇宙業界って世界全体でまだまだマーケットやニーズが不透明なので、Space BDのことを知ってもらって、相手のことを知って、いかにパートナーとして一緒に働ける人たちをつくっていくか。アイデアを出してくれる人って世界中にいっぱいいるから、「将来、私たちであればこんなこと一緒にできそうだよね!」という構想を作ることを、会話の中で心がけています。

■芳澤:グローバルな視点でマーケットを見ると、お客様だけでなく、競争相手となる海外企業もありますよね。
特にアメリカには宇宙関連の大きな企業も多いと思うんですが、彼らとの向き合い方ってどう考えているんですか?

■李:実は海外企業の競合の中でも、「日本のマーケットはビジネス様式が自分たちとは異なるのでアクセスしにくい。だからSpace BDと組んでチャレンジしたい」という声があったり、同じサービスの中で「これは得意だけれど、この部分は得意じゃない」といったことはよくあって。
例えば、大きな衛星は得意だけれど小さな衛星は得意じゃないとか。相手の苦手なところを、Space BDの得意なところで協力する。
そんな形で、フタを開けてみると組める領域っていうのはすごく多いので、競合しそうな会社でも積極的に情報交換しますし、協業みたいなことについての会話もしています。


世界からの注目

「宇宙の利用開拓力」と「実績」。
これがSpace BDが世界から注目されている理由。

■飯塚:私は広報を担当していますが、今メディアの方からの宇宙産業に対する注目度って非常に高くて!
その中でSpace BDが、宇宙の裾野拡大や、民間での宇宙の利用を加速させていることは、メディアバリューとしてものすごくあるなと思っているんです。単純に「宇宙に何かモノを持っていきます」というだけでなくて、そこに付加価値をつけてサービスを提供するというのはSpace BDだからこそできることだし、それが世の中にきちんと影響あるものとして伝わっているのはとても嬉しいことですよね。

■芳澤:宇宙の新しい利用の仕方がすごく注目されているなっていうのは、私も日々実感しています。宇宙業界の他の企業の方とお話をしていても、「Space BDさんは、宇宙の新しい利用の在り方を開拓することに長けていらっしゃいますね」と言っていただけることも多くて。
これまでいろいろなことを実績として重ねてきたからというのもありますが、例えば「宇宙 × アート × NFT」や「宇宙 × 創薬実験 × AI」みたいなこれまでやられてきていないようなプロジェクトを進めているっていうところが、Space BDの利用開拓力として注目していただけている理由の1つになっているのかなと思います。

■李:Space BDという社名の通りかなと思うんですけど、Business Development = 事業開発に特化して、それを目的に動いている会社っていうのは、海外を周っていろいろな会社の方に当社の紹介をしていても「こんな会社は他にないよね」と言っていただけます。
私が見ているところでも事業開発に軸を置いて多様なサービスを提供している会社は確かにないと思います。
先日オーストラリアの宇宙関連業者が集まるスペースフォーラムに参加したんですが、オーストラリア宇宙庁の理事長やJAXAの理事長がスピーチの中で、Space BDの社名を挙げて当社のオーストラリアでの実績が紹介されて。「こういうことをやります」と言う企業はたくさんあるけれど、「こういうことをやりました」と言える宇宙スタートアップってやっぱりまだまだ限られています。
そんな中でSpace BDは実績を語れる。それが他社との差別化であり、世界からの注目につながっているんだなとひしひしと感じています。


求められるマインド

やると決めてやる行動力と、ニュートラルさ。
宇宙の未来をつくるには、前例の有無は関係ない!

■飯塚:宇宙ならではのやりがいや難しさも含め、Space BDで働く上ではどんなマインドが必要だと思いますか?
一人ひとりが大切にしていることや、普段感じていることなどを教えてください。

■李:「できるか、できないか」で判断するよりも、「やると決めて、やる」っていうのはすごくあると思います。
できるかどうかという判断軸でものごとを選定していくと落ちていくものってたくさんあるんですけど、「これをやることによってどういう未来があるのか?どういうビジネスが描けるのか?お客様のためになるのか?」ということを考えた上で、やると決めて動く。不思議と、やると決めて動くとちゃんとできるんですよ。それだけ必死になりますし、それが契約になれば責任が生じますし。別に自分を追い込んでいるわけではないんですけど(笑)。
きちんと情報を集めてしっかり意志を持って判断して、ものごとを進めていく責任を持つと、やっぱり結果はついてくる。それはすごく実感しますね。

■芳澤:私もそう思います。あと、「ニュートラルであること」もすごく大事ですよね。
何がチャンスになるかわからないという中で、可能性を最初から否定せずに取り組んでいくマインドは不可欠です。自分の専門領域じゃなくても、時には手を伸ばしてチャレンジしなきゃいけない。ニュートラルな気持ちでとりあえずチャレンジしてみようと思うことができるかどうかだと思います。
それに宇宙産業は不確実性が高い世界なので、まずは仮説を持つことが大事なんですが、その仮説が間違っていたり前提が覆ることはよくあります。自分が立てた仮説をいつでも捨てられるっていう意味でのニュートラルさもあわせて必要なのかなと思います。

■飯塚:Space BDという会社もそうですが、宇宙という業界自体が日々変化していきますもんね。
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年前とは全然違う、24時間前とも状況が変わっているなんていうことが当たり前なので、最初の仮説に固執せず何が起きても柔軟に前進しつづけていけるかっていうのは、本当に重要なテーマだなと日々感じます。

メッセージ

ベンチャーは一人ひとりが主役!

■李:これからのSpace BDで活躍できるのは、自分で考えて行動できる人、新しいことにチャレンジができる人、変容性を持っている人だと思います。
また、自分に期待されていた役割が変わろうとも、そこに固執せずもう少し上段の目標に向かって頑張れる人だと、今後会社がどんな方向に進んで行っても自分が活躍できる領域を見つけられるのではないかと思います。
そんな方と一緒に働くことで私も刺激を受けて自分のスキルを上げていきたいですし、そこがSpace BDという会社で働く魅力でもあります。お互いに学び合える、切磋琢磨できる人をお待ちしています。

■芳澤:ある程度の大局観を持ってものごとを考えられる力は本当に大切です。それと、不確実性が高い、前例がない、という世界なので、何か違和感を感じたときに周りの人にストレートにコミュニケーションをしにいける力も大事かなと思います。
ベンチャーでは一人ひとりが主体者です。会社をつくっていく立場の人間としてジョインすることになると思うので、そういうマインドが求められます。
オーナーシップを持ってしっかりやり切ることができる人にぜひ来ていただきたいと思います。

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